お客さんの大内さんから薦められて購入したCD『Music From The Films Of Woody Allen』がすごぶる良い。(なんと3枚組で1300円也)
ウッデイ・アレンの作品中で使用されたジャズを集めたコンピってことで、それはもうハズレであるわけがないのです。
おこがましくも、こんな音楽がさらりと流れているような床屋を目指している僕にとってはまさにどストライク。
どんどんこういう音楽を吸収していきたいですね。
どこに吸収?
僕にじゃありません。
店に吸収させるのです。
吸収させ続けると、やがて店に色合いが生まれ、良い空気を醸し出し始めるのです。
これホントです。
今読んでいる『サブカルで食う』(大槻ケンヂ著)がたまらなく面白い。
大槻ケンヂさんが池袋の西武百貨店の屋上でやっていたフリーライブに行ったときのエピソードが書かれていましてね。
近隣から音がうるさいって苦情があって、大トリだったシーナ&ロケッツには一曲だけやってもらうって流れになったそうなんです。
会場はもう暴動寸前みたいになったのですが、シナロケが出てきて鮎川誠さんが「仕方ないんで一曲だけやりますんで聴いちょってください」ってストーンズの「サティスファクション」をはじめたわけです。
「満足できないぜ」って曲ですよ。
しかも、その一曲を四十五分くらい演奏したんだっつーから、しびれてしまいました。
この機転の利かせかたね。
ここで「ふざけんじゃねえよ!」って暴れる方向に反骨精神を発揮するんじゃなく逆境をチャンスに変えてしまう。
しかも、そこでちょっとユーモアを入れて相手を苦笑いさせながら、みんなも納得させてしまうというね。
「なんか、生き方の重要なポイントを教えてもらった気がします……」
これは大槻ケンヂさんの言葉なのですが、僕も激しく ME TOO だぜと感じ入りました。
いざという時、こういう粋な機転を利かせられるようになりたいものです。
ふてくされたり、ブツブツ文句言ったりとかじゃなくてね。
こういう機転こそが本当の教養がある行いなんじゃないかと。
そう思うのだが、キミはどうだ?
ずいぶん前のこと。
航空記念公園で、スピーカーを組んでちょっとしたプチ野外音楽イベントみたいなことをやったことがあるんです。
バンドとかは出なくてレコードセレクターのみで、芝生の上で気持ち良い音楽聴きながらのんびり過ごしましょうよってな企画。
そこで、セレクターの中の二人が遅刻したんですね。
自分の時間が終わっているのにレコードは持ってくるっつー鋼の精神力で。
時間通りに来てセッティングに励んでいたみんなは当然のごとく憤っていたわけです。
論外だ。
冗談じゃない。
あいつらの持ち時間はなしにしよう!ってね。
でも僕はそこで「せっかくの楽しいイベントなんだし、ここはみんなの時間をわけあって彼らにも持ち時間をあげましょう!楽しむ、それが一番!」と提案したわけです。
「え〜!」って声も上がりましたが、主催者であるテッペーがそう言うなら別にいいよと渋々承諾してくれたわけです。
でも、なんだかんだで僕の持ち時間はなくなり、張り切って主催した自分が一、二曲しか選曲せずに終了時間を迎えるっつーどっちらけなエンディングだったわけです。
僕は当時、このエピソードを「これはもう美談!葬式の弔辞でも語られるような素敵な話しなんじゃ?」などとほくそ笑んでいたのですが、今思えば「なんだかハドゥカシィ!」ですね。
全然、粋じゃない。
偽善臭がプンプンです。笑
もっとこうナイスな機転を利かせて、みんなが笑顔になれるように出来てたらな〜と今更ながら思います。
一つぐらいは伝説となるようなエピソードが欲しいもんです。
欲しがっている時点でそれダメだよ!
だなんて言わんといてください。
それでは股旅。