順調に行けば明日で五十一歳になる床屋のおやじさん、それが私だ。
トイレットで用を足しているとき、ふと見上げたら、 ジャズピアニスト “ビル・エヴァンス” の生涯に迫ったドキュメンタリー映画のチラシが目に入った。
(お客さんが映画館に行く度に収集していたチラシコレクションの中から “DOODLIN’ BARBER SHOP” に相応しいんじゃないかと選りすぐっていただいた中の一枚をフレームインしたもの。大久保さんに感謝!)
そこに書いてあった一文がやけに響いたんだったんだったん。
『美と真実だけを追求し、他は忘れろ』
「時間をかけた自殺」とも言われた “ジャズピアノの詩人”
51年の人生と音楽
ビル・エヴァンスが何歳で亡くなったかとか、あまり考えたことなくて、なんとなく若くして逝ってしまったという印象は強かったのだが、そうか51歳で世を去ったのね。
それはもう凄まじい生涯だったというのは知っている。
で、数々の素晴らしい作品を残したことも、もちろん知っている。
そうか……五十一か……そうだったのか。
どれだけ濃厚濃密な五十年なんだよ。
ま、これはただの偶然で、そこに意味なんぞはないし、それを求めたりはしないし、それに比べて自分の人生の薄々ペラペラなこと!
なんて、おこがましくも比べたりなんか絶対しないんだけども、なんだかシミジミした。
もひとつシミジミたのは、私が大好きなバンドのボーカルとギタリストが、それぞれ別のインタビューで同じようなことを言っていたことだ。
二人とも、
「No future for you~♪」なんておまえに未来なんかねぇって歌を聴いてるのに
「よし、今日もがんばろう!」って気持ちになるんだから面白いよな〜
みたいなことを言ってて、申し合わせたわけではなく、当たり前のように同じ感覚を持ち合わせていたんだな〜ってシミジミしちゃったわけです。
今までも散々シミジミしてきたけども、これから更にシミジミする機会は増えるんだろうなって思う。
でも、多分きっとそれは良いことなんだと思う。