やっとわかることがある

私は人様の髪を切り、その散髪料を糧にするという仕事を生業にしている。

気まぐれに日々の思いをネット上に認めたりしてるのだが、それも近頃は疎かにしがちになっている。かつてはほぼ毎日更新してたのに、あの情熱は何処に消え去ってしまったのだろうか。

飽きたのか。それとも疲れたのか。はたまた、さりげなく心が成長したからだろうか。

その答えは風の中である。

晩秋ってことで、例年通りニール・ヤングがヘビーローテーションになっている我が理髪店。誰もがニールヤンガーになりやすい時節なのだろう。ラジオを入れれば、あの名曲「Heart Of Gold」が聴こえてくることが多くなってきた。

店内BGMとしても、お客さんからの反応は上々だ。

なんか良いっすね……二十代の若者すら、うっすらニールヤンガーにさせてしまうんだもの。みつを。

10年くらい前、大槻ケンヂさんの対談本か何かを読んで、その対談相手の中の一人が「四十過ぎて自分のことを考えるのに飽きた……」みたいなことを言ってたのを、四十代になったばかりは「そんなもんなのかね〜」と全く感ずるものが無かったのだが、今来てるよ。

五十三歳になった今、今更「それそれ、その感じ!」と実感しまくっている。

でも、その感じが良いのである。凄く気持ちいい。

誰かが「50代にもなると真顔で息を吸ってるだけでパワハラになってしまうから……」と言っていたから、それは気をつけたいと思う。

いつも静かに笑っていたい。キューブリックの傑作『フルメタル・ジャケット』に出てくる微笑みデブみたいな感じでね。

股旅。

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