文字の奇蹟

私は人様の髪を切り、その散髪料を糧にするという仕事を生業にしている。

ここんところ“あんまり本が読めないんだよねモード” だったのだが、少しずつまた読めるようになってきたようだ。
何がどう作用して、読める読めないとアップダウンするのか我ながらとんとわからないのだが、なんだかそういう“流れ” が生活の中にある……気がする。

ヘビーを担うのは小説。
何でまたそんな……と妻さんを閉口させるようなタイトルのものを読んでいるのだが、自分的にはいやいやそこまでダークじゃないっしょ!
と思っているところが痛い。

ライトを担うのは随筆、またの名をエッセイ。
息抜きたいときにパラパラと読むのが好きだ。
そんで、そのエッセいで紹介されている本の中で「これいいかも!」とビビっと来まくったものを読んでみる。
これが楽しい。
“本の数珠つなぎ” とこっそり名付けてもみた。
繋がっていく感じがなんだかググッと来るのである。

マンガはまた別だ。
マンガは読書ではない。
漫読だ。
全く違う脳の領域を使って楽しんでいる。

で、その漫画の中にまた魂を揺さぶる言葉があったりするから侮れない。
字だけじゃこうはいかない。
絵とストーリーと相まってもの凄いパワーを解き放ったりするからたまらない。

毎週、オンエアを楽しみにしているアニメ『チ。-地球の運動について』も原作はマンガだ。
これがもう気絶しそうなくらいから面白いから困ったものである。

文字の奇蹟について語られた場面には震えが来るくらい興奮した。

『本当に文字は凄いんです。
アレが使えると時間と場所を超越できる。
200年前の情報に涙が流れることも、2000年前の噂話で笑うこともある。
そんなの信じられますか?

私たちの人生はどうしようもなくこの時代に閉じ込められてる。
だけど、 文字を読む時だけは かつていた偉人たちが私に向かって口を開いてくれる。
その一瞬この世界から抜け出せる。
文字になった思考はこの世に残って、 ずっと未来の誰かを動かすことだってある。

そんなの…まるで、奇蹟じゃないですか ……』

ヤバい。
書いてて泣きそうになった。
そんな自分がキモい。
でも、エモい。

ホント奇蹟だよな。
これを読んで初めて気付かされたよ。
奇蹟なんだよな。

股旅

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