私が小学生の頃。
ガンプラブームというのがあった。
アニメ『機動戦士ガンダム』に登場するロボット a.k.a モビルスーツ をスケールモデル化したもので、当時のキッズたちの心を鷲掴みにし、あちこちで品切、品薄、入荷日には整理券が配られ長蛇の列に並ぶも、それでも欲しいキットが買えないという狂騒だったんだったんだったん。
私が暮らした街には、いくつかの模型屋と玩具屋があって、私は全ての店のガンプラ入荷日を把握していた。
それぞれがそれぞれの売り方をしていて、私は整理券で並ぶのが嫌で、土曜日が入荷日である駅前のおもちゃ屋を主に争奪主戦場にしていたのだが、目当てのキットをゲットするには、昼ごはんを我慢し、学校から帰るなりタッチ アンド ゴーで自転車をかっ飛ばさなければならなかった。
それでも、欲しいキットがなかったり、ときには欲しいキットが幾つもあって、でも一人一つしか買えないという謎のルールがあったりして悔しくて歯軋りしまくりで歯槽膿漏になったりしたもんだった。
今思えばだ。
ガンプラブームの凄いところは、その値段設定にあったと思う。
低価格シリーズだと一つ300円。
これから、さらに店によって割引があり、2割引の店舗だと240円で買えるっつーね。
小学生のお小遣いでも一ヶ月に一つ二つゲット出来ちゃうわけなのである。
そりゃ燃えるわけである。
でね。
悪質な店だと“抱き合わせ”で売られたりしててね。
一つの300円のガンプラを買うために、全然欲しくない しょうもないキットも合わせて1200円払わないと買えないっつー極悪非道な手法を使っていた。
あれ、違法なんじゃない?
私もいい大人の年齢になった今。
よくも子どもたちにあんな悪逆無道な売り方を いけしゃあしゃあとよく出来たもんだ!
と今になって腹が立っている。
もしかしたら、いろんな事情があったのかもと想像出来なくもないが、あれは恥ずかしい振る舞いだよ。
昔は良かった……
なんて、しみじみ思うときもあるが、この抱き合わせ商法を思い出すと、この淡い憧憬は霧散するのだった。
ありゃコウンだ。
せめてね。
どんな事情があるにせよ、子ども相手にそういうことはしたくないよな〜
と床屋のナイスミドルは、しんみり思うのである。
んがんっぐ。