親友交歓

念願だった幼馴染が経営するパン屋「ベッカライテルタケ」にやっと行けた。

なぜ“やっと”かと言うと、うちの店と定休日が全く一緒で、なかなかどうして自分の営業日に片道40分は要するベッカライテルタケがある“ふじみ野”まで足を伸ばすことが出来なかったからである……と言い訳してみる。

ベッカライテルタケ店主の鳥飼くんは私が中学時代所属していたサッカー部の同期で通称“チェル”。
お互い50歳を過ぎた今も私は彼をチェルと呼んでいる。
多分きっと30年後もチェルと呼んでいるだろう。
呼ばなくなる理由がないからね。

チェルがパン屋を始めるらしいと聞いたときは驚いた。
確か彼は大学に行ってたと聞いたし、そもそもパン屋ってイメージが全くなかった。

いや待てよ……これってまるでオレじゃん!
なんで床屋?
私もいまだによく聞かれるじゃん!

にわかにチェルへの新たな親近感が湧いて来たんだった。

それも最早五年前のこと。
ベッカライテルタケは五周年を迎えたのだそうだ。
すごいなチェル!
頑張ったなチェル!

で、今回の初来店メインのお目当てはベッカライテルタケ謹製である“モーンシュトレン”。
昨年、チェルかサプライズで「これ食べてよ」といきなり持ってきてくれて、その味の素晴らしさに彼の辿ってきたであろうロングアンドワインディングロードが垣間見えたからだ。
即ちそこに感動があったのである。

一緒に購入させてもらったパンも全て美味しかった。
これからゆっくりじっくり食べさせていただくモーンシュトレンも楽しみ。

五十代になっての床屋のオッサンとパン屋のオッサンとの繋がり。
これはきっと人生の宝物だろう。
感謝しなきゃな。

何に?
よくわからない何かにだ。

私がクリームパン好きだと言うことを覚えててくれたチェルの優しさにも感謝。

ふじみ野近辺にお越しの際は“ベッカライテルタケ”に是非お寄りください。
妖精のような可愛らしさと愛嬌を兼ね備えた店主がいますので。

股旅


それはただの偶然である。意味などはない。

さてと今回の日記は夏目漱石先生のことでも書くべかなとPCに向かおうとした瞬間ハッとしてグッと来たのです。

そうでした!
今日は夏目漱石先生の命日だっんだったん。
ピーンと閃き思い出しましたよ。

何この偶然!

と独りエキサイトしております。
と同時にゾクっともしました。
そういう気持ちわかるでしょう?

私が書こうと思ったのは夏目漱石が飼っていた猫の話です。
先生のデビュー作である『吾輩は猫である』のモデルとなった猫を後に先生は飼ったそうです。
で、その猫の名前が「ネコ」だったという話。

超有名な書き出し「吾輩は猫である。名前はまだ無い」に自身に寄せたのか……

いや、違うな。
多分、夏目漱石先生はそういう人だったのだろう。
可愛がっている猫を「おい!ネコ!」と呼んでしまう世間一般の考え方を軽々と超越してしまうセンスの持ち主だったわけです。
さすがです。
いろいろとぶっ飛んだエピソードをお持ちですが、私は以前にも増して先生に親しみを覚えましたよ。

さて。
久しぶりに『吾輩は猫である』を読んでみようかしらん。
なぜか、年の瀬に夏目漱石作品を読みたくなるものです。
と同時に、ニール・ヤングも聴きたくなってしまいます。
これはもうどうしようもないことなのです。
これはもう私の “性” としか呼べない代物なのです。

気まぐれに手に取った本『あした死のうと思ってたのに 』(吉本ユータヌキ著)が、とっても良かったです。
相変わらず “良い本” の引きが良いです。
ありがたし。

それでは股旅。

ノスタルジーに溺れて

10代の頃からずっとずっと好きだったThe Pogues のフロントマン シェイン・マガウアン が死んでしまった。

いやそれはもう生きているのが奇跡みたいな人で、いつ死んでもおかしくない感じではあったのだが、実際に訃報にふれると切ない。
やたら切ない。
享年65歳。
それが早いような遅いような、そんな人だった。
合掌。

じゃあ、今日は一日中ポーグスをBGMに仕事をしよう!

と決めていたのだが、早々にギブアップ。
なにしろ切ないからだ。

それじゃあ、代わりにこれを聴こうとちょうど同時期に夢中で聴いていたボアダムズをナイスチョイス!

なわけなくて、狂気に満ち満ち過ぎてて、お客さんがいらっしゃらない時にしか店内で流せないのだけれども、これが猛烈にかっこ良くて驚いている。

当時は、こういうエキセントリックな音楽が好きなオレちゃん!

ってのを必死で演じていた痛々しい若人だったのだが、わかったよ。
今になって、やっとこの格好良さがわかったよ。
これヤバいよ!
それはもう泣けるくらいに。

そんなわけで、今日はThe Pogues と BOREDOMS ばかり聴いている。
全然違う空気感のようで、底辺に漂っているのは同じ匂い。
それはつまり、あの日あの頃の自分と対面しているようで、むず痒く、そして恥ずかしい。

こんな好きなバンド、好きな音楽があって良かったな、あの頃のオレよ。

これからも聴き続けようぜ。

お久しぶりです

実はこの三週間ほど、HPは見られるけども、日記の更新ページにアクセス出来ないって状況が続いていたのです。

困り果てた頃に、このHPを作ってくれた長友くん(当店ロゴやTシャツのデザインなどもやってくれてます)に連絡したらチチンプイプイと復旧してくれて目出度くこうして再び日記が書けるようになりました。
ありがとうございます!

先日、ホームセンターの模型売り場に行った時に品の良い佇まいの老夫婦に声をかけられましてね。

「このプラモデルを作るには接着剤はいるんですか?」

と訊くおばあさんが持っていたのがガンプラだったので、それは接着剤はいらないですよと教えてあげたのでした。

「お孫さんに買ってあげるのですか?」

と私が訊いたら

「違うのよ。私たちが作るの!ボケ防止にね!」

と悪戯っぽく笑うおばあさんはチャーミングでした。

驚きですよね。
こんなご老人がプラモデルを作るっつーんですもの。
しかもガンプラ!
それも HG サザビー!笑

でも確かに良いかも。
確実に脳は活性化すると思いますもの。
私もプラモデル製作を通して、自分の仕事に対する見方が変わったのを感じました。
なんか、今までと違った楽しみ方を見つけたんですよ。
髪を切ってて面白いんです。
カットする際にプラモデルを作っている的アプローチを試みている……っつーと、なんか不真面目に聞こえるかもですが、いたって私は大真面目です。
でも全然上手く説明できないんです。
ごめんなさい。

そんなわけで、今日も日々発見、日々成長、日々落胆。
刺激に満ちたエブリデイであります。

股旅。

やっぱり無知は無恥

聴いた後に良質な短編小説を読んだ後と同じ圧倒的な余韻を感じるような、そんな名曲ありますよね〜ゲヘ〜

例えば?

ゆらゆら帝国 の“フランキー・ティアドロップ”とか、奇妙礼太郎トラベルスイング楽団の “ダンスホール” とか……

とココまで言いかけた瞬間、お客さんから鋭いツッコミが入ったんだったんだったん。

その “ダンスホール” って尾崎豊のカバーっすよ!ケロケロ!

し、し、し、知らなかった!

私は絶句したのでした。
もうね、超名曲だと思ってましたからね。
奇妙礼太郎スンゲー!って鼻息荒くなってましたから。

それが私がずっと背を向け続けて来た尾崎豊の曲だったとは超驚きですよ。

と同時に自分の無知さと超絶ダサさに歯が全部抜けそうです。
ハドゥカシィ!
「無知は恐怖」とはまさにこのことである。

で、今更ながら尾崎豊再評価!

なんてさらにダサいことはしません。
そっと、そっと遠くからスンゲー尾崎!と絶叫しようと思います。

で、しかもこの曲を作ったのが16歳のときだって言うじゃない?
当時話題になった未解決事件の「新宿歌舞伎町ディスコナンパ殺傷事件」をモチーフにしたんですって?
16歳で!?

床屋のオッサン、鳥肌立っちゃいました。

いやはや無知は恐ろしい。そして猛烈に恥ずかしい。けれども、何なんだろうか、この清々しさは。
思いがけず良い感じです。

んじゃ、THE CLASHでも爆音で聴きますわ。

股旅。